「ATAC」および「ATACカンファレンス京都」研究発表募集
投稿を受けつける研究内容について
「ATAC」および「ATACカンファレンス京都」では,障害種別を問わず,支援技術やAAC,また環境設計や合理的配慮等による,困難のある人々の支援に関わる研究発表を募集しています。
ここでいう支援技術とは,障害者向けに開発された専用製品や,そうした製品の開発だけを意味するわけではありません。広く一般に流通している様々なテクノロジー(ハイテク・ローテク)製品やサービスの活用についても対象とした,広義の概念を表します。
障害当事者が生活や学び,就労等,様々な社会的場面に出会い,そこでの活動や参加という,人間の権利としてごく当たり前の目的を持つとき,障害特性と社会的場面の相互作用から,当事者の目的を阻む「困難」が生まれます。また,その困難から,日常的に生きにくさを感じている人々は多くいます。この困難を楽にし,活動への参加を支援することは,障害のある当事者はもちろん,その周囲の支援に携わる人々が共有している目的といえるでしょう。
背景となる社会的な前後関係を含めて,こうした困難と,障害当事者を支援するノウハウ(支援技術やAAC,また環境設計や合理的配慮の活用)が豊かに記述されてはじめて,支援の意味や価値の理解,その議論は可能となります。その意味で,困難のある人の支援の社会的な理解や受け入れに「エピソード記述」は不可欠なものと言えます。
ある長さの棒一本,ある会社のペン製品一本であっても,場面と活用方法,関係者の目的や思いによっては,障害当事者にとってかけがえのない支援となります。しかしながら,その具体的な場面が伝わる描写だけでは,再現可能で,その後のより良い活用を検討する研究とはなり得ません。そこで,困難の有り様に対する,支援技術やAAC,また環境設計や合理的配慮の活用ノウハウについて,技術的側面や心理的側面等,多様な側面からの「客観的評価」が重要となります。
支援技術やAAC,また環境設計や合理的配慮等の活用による支援の実践,開発を扱い,エピソード記述や客観的評価を視野に入れた,当事者の生活における支援の意味や役割に迫ることを目指した研究が,多く投稿・発表されることを期待しています。
過去のATACカンファレンス京都での発表題目
口頭発表2008
<実践研究>
- 坂本清美(杉並区立こども発達センター)「療育支援ソフト「たっちゃんのコネク島」活用に向けての臨床発達的研究」
- 高尾 謙(島根県立松江清心養護学校)「一人一人のニーズに応じた支援を目指して(加速度センサを用いた余暇活動の獲得)」
- 松本謙之(新潟大学大学院自然科学研究科人間支援科学専攻)「VOCAを用いたコミュニケーション支援1〜地域連携による知的障がい・発達障がい児のコミュニケーション支援〜」
- 宮田圭介(静岡文化芸術大学デザイン学部)「通常学級に在籍する発達障害児に有効な教材デザイン」
<開発>
- 青木高光(長野AT研究会)「VOCAを用いたコミュニケーション支援2〜RFIDを用いた新しいシステムの開発〜」
- 大島直樹(豊橋技術科学大学知識情報工学系)「人と人との関わりを引きだすソーシャルメディエータのデザインとその応用」
- 小川修史(兵庫教育大学大学院学校教育研究科)「笑いに基づいた支援の提案-HP「もしも・・の研究所」の実践を通して-」
- 木村秀生(京都府立こども発達支援センター)「関係発達論的インタフェースとして開発中のコミュニケーションロボットMuuを試用した発達支援」
- 小西順(大阪府立堺支援学校)「楽しむ心を育む授業を通じて個別課題を克服する実践活動」〜「新小西グラフ」と「個別課題アプローチ表」の紹介〜」
- 中園 薫(NTT未来ねっと研究所)「言語、文化の差や障害を越える動画ピクトグラムによるコミュニケーション」
- 長妻令子(日本IBM)「学習障害のある人のウェブ閲覧を支援するソフトウェアの開発」
- 松本伸浩(愛知県立ひいらぎ養護学校)「伝える工夫(電子黒板をもっと身近なものに)」
<活動報告・紹介>
- 石飛了一(筑波大学附属大塚特別支援学校中学部)「音声再生システムを活用した授業作り・教材作り」
- 上川享宏(NPO生活を豊かにする障害児・者支援福祉協会)「生活を豊かにするバランスシーティング」
- 太田容次(国立特別支援教育総合研究所) 自主企画(セミナー・シンポジウム・ワークショップ) 活動紹介・報告 発達障害情報センターの活動紹介とこれからの期待」
- 佐々木加奈(主婦)「自閉症スペクトラム“夫婦”と言うユニットを組んで」
- 外山世志之(東京都立光明特別支援学校)「障がいのある子の「わかる」「できる」「楽しめる」環境を整える-実践的アイデア77-」
- 若宮正子(メロウ倶楽部)「中期高齢者の自立を支援するデジタル機器・サービス 高齢者のeコミュニテイ「メロウ倶楽部」の活動現場からの報告」
ポスター発表2008
<実践研究>
- 阿部直子(広島県立黒瀬特別支援学校)「音声再生システムを利用した教材活用」
- 駒澤寛士(島根大学大学院)「脳性麻痺児の視知覚訓練におけるコンピュータの活用」
- 田上弘毅(島根大学大学院総合理工学研究科)「高次脳機能障碍者のパソコン操作支援」
- 中川宣子(京都教育大学附属特別支援学校)「授業視点(デジカメ)記録法の開発—効果的な授業計画支援法—」
- 中園正吾(龍谷大学大学院理工学研究科電子情報学専攻)「ボタン押し課題における発達障害児の特性」
<開発>
- 杉浦 徹(長野県稲荷山養護学校)「振動するおもちゃの開発(3)因果関係理解を促すための「かたち」の検討 その2」
- 竹内奏子(長野AT研究会)「誰でも,どこでも使えるコミュニケーションエイド droplet その2」
- 水野暁子(日本福祉大学子ども発達学部)「触図ペンの開発と試用(視覚障害者の学習および文化活動の支援)」
<活動報告・紹介>
- 上松利恵子(群馬整肢療護園)「コミュニケーション機器プロジェクトの取り組み」
- 高原 実(北海道真駒内養護学校)「北海道でアシスティブテクノロジーを考える会(HATS)の取り組み」
更新履歴
2009年8月31日:初版掲載
2009年9月1日:過去(2008年)の発表題目を追記